太陽化学の研究開発と
社会への貢献

日本の食品業界では食品リサイクル法基本方針において、事業系食品ロスを2000年度比（547万トン）で2030年度までに半減（273万トン）させる目標を定めています。これらに呼応して各食品メーカーは段階的に資源使用量の削減を進めています。
食品が陳列される店内では、見た目もおいしく見えるように光が照射されています。しかし実はその光によって酸化が発生し、食品が劣化します。さらに昨今の食品業界では、包装容器に使われるプラスチックの減量・減容化に取り組む企業が増加しています。そのため、包装容器の変化に伴い、食品に光がより届き易くなることで食品の品質維持期間の短期化というフードロスに繋がる課題が新たに発生しました。こうした状況下で、「食品のおいしさや品質を保ちつつ劣化を防ぐ方法」について関心が高まり、課題解決策として抗酸化剤の使用があらゆる食品で広がってきています。当社製品“TSシリーズ”は主成分に天然由来の成分を中心としており、安全・安心な抗酸化剤として展開しています。
より多様な食品をおいしさを保ったまま皆様に届けたいという想いからスタートしたこの研究は、フードロス削減への動きとおいしさを通じた豊かな食生活の実現を両立することにも貢献しています。おいしさを保つことがフードロスの削減に繋がるという考えも広がりつつあります。
“TSシリーズ”は20年前に開発されて以来、製品としてアップデートを続けており今もなお市場に求められています。

賞味（消費）期限の設定は、理化学（栄養）、微生物（腐敗）、官能（おいしさ）の3点がポイントになります。これらを適切にケアすることは、食品が本来持つ栄養とおいしさを長期間維持することを実現すると同時に、限りある資源の有効活用につながります。

世界の健康と生活文化に貢献する―この想いを進めていくために当社は継続した研究開発に取り組んでいます。いつまでも健康でいたいという思いに対して、昨今ウェルビーイングへの関心が高まっています。なかでもフラボノイドはポリフェノールの一種で植物の成長や防御に重要であり、高い抗酸化作用から多様かつ有益な機能を発揮することが期待され、日本国内だけでなく欧米においてもケルセチンやイソクエルシトリン、ルチンを配合したフラボノイドサプリメントが数多く販売されています。

度重なる気候変動により世界中で自然災害が発生しています。被災地では安全を確保するために避難所への移動が急務となります。被災時の食生活で特に野菜の摂取が困難であり、食物繊維をはじめとする様々な栄養素の不足により体調不良に繋がると言われています。さらに避難所では、体力的にも負担を強いられ、十分なプライバシーの確保が困難な状況での集団生活や災害への不安からストレスを抱える方が多く見られます。ストレスが腸内環境のバランスを崩し、腸内環境の乱れがさらなるストレスを感じるといった悪循環が発生します。当社の素材の一つであるグアーガム分解物は腸内環境を整えるエビデンスがあり、医療・介護施設において専門職の方々から厚い信頼を寄せられている水溶性食物繊維です。医療・介護業界はもとより被災地においても栄養を補給し、健康管理することが重要となるため、当社の子会社である株式会社タイヨーラボから現地の関係者を通じて被災地へサプリメントを提供支援しています。
今後も世界中のあらゆる状況にある方の健康と生活文化に貢献していくために、私たちに何ができるかを常に考えていきます。

世界的に高齢化が進む中で、平均寿命だけでなく、健康寿命の重要性が広く認識されるようになりました。
太陽化学グループは機能性表示食品の制度にも積極的に対応することで、介護が必要な期間を少なくし、誰もが健康でいきいきとした生活を続けられるよう、機能性素材の研究、開発を通じて貢献します。

世界ではより高度な環境対応や循環型社会へのシフトに伴い資源保護の動きが活発化しています。また、日本の食品業界では食品リサイクル法基本方針において、事業系食品ロスを2000年度比（547万トン）で2030年度までに半減（273万トン）させる目標を定めています。これらに呼応して各食品メーカーは段階的に資源使用量の削減を進めています。この状況に後押しされるように、当社にも環境配慮視点での相談が多くなりました。
相談のひとつとして、製造工程におけるエネルギーや水使用量の削減が挙げられます。食品業界では、食品加工や設備洗浄に大量の水を使用しますが、これらの洗浄用水ですらも削減対象とし、企業は対応を迫られています。そんな中、太陽化学が提案している取り組みをいくつかご紹介します。

当社の製品“アワブレークシリーズ”は、食品加工時において発生する泡の消泡や発生抑制をするために開発されたナチュラルな消泡剤です。例えば、充填作業時の泡の吹きこぼれによる汚れは、微生物汚染リスク低下のため、早急な洗浄が必要となります。この吹きこぼれ自体を防ぐために充填速度を低下させると製造稼働時間が長くなり、エネルギー消費量増加に繋がります。また、洗浄作業中に泡が発生すると作業が終わらず次の工程に進めないことから洗浄時間の増大、つまり生産効率の低下やエネルギー消費量の増加に繋がってしまいます。
“アワブレークシリーズ”は、私たちの強みの一つである界面制御技術によって生まれた製品です。こちらの製品は長時間に渡って消泡や発生抑制する力を持続させる特徴を持ち、各工程に消泡剤を投入する手間を減らすことも可能です。また“アワブレークシリーズ”は、天然由来であり、安全・安心な素材として幅広い業界での使用実績があります。“アワブレークシリーズ”の主原料は、多くの自然物に含まれる“油”。その油を使って、モノとモノの境目（界面）をコントロールすることで、泡の発生から消泡までもコントロールしてしまうというものです。

近年、素材の安全性を求める声や環境に配慮した商品を選択する消費者動向から、鉱物由来、生分解性などの点においてPEG(ポリエチレングリコール)フリーやナチュラルな界面活性剤のニーズがあります。
今後のニーズは更に増えると捉え、使い心地も重視した処方サンプル開発をすすめ、豊富な技術を駆使し革新的な取り組みを展開していきます。昨今、原料メーカーとして、アメリカを始めとする展示会で、PEGフリーやナチュラル志向の「クレンジング」「サンスクリーン」「クリーム」などの処方サンプルを展示し好評を得ました。
今後更なる世界での取り組みにも力をいれていきます。

生まれたての赤ちゃんの柔らかな肌、肌質が変化しやすいといわれる妊婦さん、アレルギー体質の方にとって肌への負担が抑えられた低刺激性製品は選択肢の一つとして支持されています。
また肌が弱い方以外でも、ライフスタイルの変化で、スキンケア意識の向上や肌への安全・安心意識は年々高まっており、敏感肌商品へのニーズ拡大が期待されています。
当社は注力製品や処方提案において、製品が無刺激性であることの証明書（無刺激性試験のエビデンス）を取得しました。
日本で取得した安全性データも含め、今後様々な国での幅広い展開も視野にいれています。