Vol.7 飲料の粘性と脂肪粒子径
執筆:川村 泰司(おいしさ科学館館長)
ミルク飲料のような脂肪が含まれている飲料の飲み込み感と脂肪粒子径の関係は非常に深いと古くから言われています。飲み込み感に留まらず、ミルクの風味の変化など商品の特徴を大きく左右する品質でもあります。
粒子径を自由にコントロールしてミルク飲料が作れたら、どんなに商品の差別化ができるであろうかと、飲料の開発に携わっている多くの研究員の方は思われているのではないでしょうか。 そこで、今回は脂肪粒子径と飲料の飲み込み感についての評価手法を検討してみました。 SzczesniakやShermanが、人が食べ物を見て、口の中に入れたときの感覚から、咀嚼、嚥下の時の感覚などをテクスチャープロファイルとして提案し、また、流動特性と粘りつき、ずり応力とずり速度と官能評価のかんけいについても検討されています。そのような手法を参考にし、おいしさ科学館でも脂肪粒子径と飲料の飲み込み感について動的粘弾性測定装置を用いて飲料の粘度を測定し評価してみました。
ミルクコーヒーで、図1のような粒度分布を有する3種の試作品を準備し、それぞれの粘度をせん断速度を変化させ測定を実施しました。
動的粘弾性測定装置の測定結果の客観的測定結果と官能評価による主観的結果を組み合わせて飲料の飲み込み感を表現するためにせん断速度の50s-1をY軸(口当たりの粘度)に、500s-1をX軸(喉越しの粘度)に取り、飲料の位置関係を表しました。(図2)
この様な方法で、飲料の飲み込む感覚を評価するのも面白いかもしれません。
<参考文献>
「おいしさのレオロジー」 (中濱信子、大越ひろ、森高初恵 著) 弘学出版株式会社