環境意識の高まりに対応!「植物由来」コンセプトを支える素材
近年、環境配慮への高まりにより、石油を主原料とするプラスチックから、植物などの再生可能な資源から製造された バイオプラスチックへの関心が高まっています。このような中、トウモロコシなどの植物原料(バイオマス)を用いて製造される ポリ乳酸はカーボンニュートラルな素材であり、実用レベルにあるバイオプラスチックとして注目を浴びており、 消費資材や農業用資材、食品包装用資材などへの利用検討が進められています。
しかし、上記の用途への利用が進む一方で、ポリ乳酸の「硬くて脆い」という物理的性質が、ポリ乳酸成型品の品質低下 (特に衝撃に対する「割れ」)にも繋がり、その利用が制限されてきました。これらの課題を解決するため改質剤や 可塑剤などの添加剤が用いられていますが、それらの多くは石油由来であり、ポリ乳酸の植物由来と言うコンセプトとは 合致しません。そこで当社は、「100%植物由来」の原料を用いた改質剤「チラバゾールVR」を開発し、既に食品容器などに 採用されています。
ポリ乳酸添加剤「チラバゾール」のラインナップ
「チラバゾールVR」は、当社がこれまで食品分野で培ってきた技術を基盤として開発した脂肪酸エステル系界面活性剤です。
分子内に特有の親水基と親油基を持っており、この分子構造をポリ乳酸改質剤向けに最適化することで、ポリ乳酸の耐衝撃性や可塑性を大幅に向上させることができます。
現在、ポリ乳酸の用途に応じた形でシリーズ展開している代表的なチラバゾールVRを紹介します。なお、当社チラバゾールVRは100%植物由来の特徴以外にも、少量添加での効果発現やポリ乳酸の透明性維持、さらにはポリ乳酸のガラス転移温度をほとんど低下させない特徴もあります。
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- 「チラバゾールVR」……
- 食品添加物規格にも適合した安心・安全な素材で、ポリオレフィン等衛生協議会のPL(ポジティブリスト)、グリーンプラマークPLの双方に登録されております。
また、各種ラインナップを取り揃えており、チラバゾールVR-01は可塑性付与効果、チラバゾールVR-08は耐衝撃性付与効果など、それぞれに特徴的な改質効果を有しております。
引張試験
チラバゾールはポリ乳酸単体に対し、5~30倍の可塑性を向上します。
衝撃試験
チラバゾールはポリ乳酸単体に対し、5~18倍の耐衝撃性を向上します。
衝撃試験後の様子
チラバゾール無添加のポリ乳酸は破断するのに対し、チラバゾールを添加したポリ乳酸は破断しないほどタフネス(耐衝撃性及び可塑性)が向上します。
製品ラインナップ
製品名 | 機能 | 用途 | ポリ衛協確認登録 | グリーンプラマーク登録 |
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チラバゾールVR-01 | 可塑性付与 | 食品用器具・包装容器・工業部材 | 登録([B]NJ-13129) | 登録No.830092 |
チラバゾールVR-08 | 耐衝撃性付与 | 食品用器具・包装容器・工業部材 | 登録([B]NJ-13312) | 登録No.830095 |