第3回「卵黄の呈味」
たまごの3大キノウのひとつ、「呈味」キノウについてご紹介します。
あなたはどのたまごの香りが好み?
たまごの香り、好きな人が多いと思いますが嫌いな人もいると思います。「たまご」とひと口にいっても、その香りは簡単に表せるものではありません。たまごの「硫黄っぽさ」が嫌いという人もいれば、たまごの加熱したときの香りが特に好きだという人もいるでしょう。
たまごの香りは加熱の状態により、食感と共にどんどん変わっていきます。一般的には生から半熟状態(液性がある状態)では「旨みやあまみが強くてコクがある」、加熱が進み凝固の状態(液性がない状態)では「あまくて香ばしい香りが強い」、という表現がおいしいたまごの風味として合っているのではないでしょうか。
これらのたまごの香りは繊細な調理工程により出来上がるものであり、大量調理を基本とする加工食品では得ることが困難だと言われています。
たまご感に厚みを持たせる3つの要素
食品を口にしてはじめに感じるのが「トップの要素」、その後口の中で咀嚼を進めて飲みこむまでに感じられるのが「ボトムの要素」とすると、加工食品で再現が困難なことが多い「たまごの香り」には「ボトムの要素」の補填が必要であることが多いです。太陽化学では、たまごの香りに厚みを与える主なボトムの要素は3種類あると考え、「たまごのあまい香り」「たまごのこうばしい香り」「たまごのコク」と表現しています。この3つの要素はいずれもたまご感に厚みを与えるものですが、そのバランスで表現されるたまごの香りが変わっていきます。
太陽化学では、この3つの要素を補強するためのたまごの風味を、以下の図に示すような独自の加工技術によってたまごから引き出しています。
たまごの理想的な香りのひとつ、“たまごの香ばしさ”
上記の加工技術のひとつから生まれた、たまごの香りを調整する素材のひとつが「たまごゆ」です。たまごゆは調理で生まれる独特のたまご風味を再現するために開発されました。「たまごゆ」により、たまごの香ばしい風味を加工食品においても簡単に作り上げることができます。
以下の図は、オムライスのオム皮に「たまごゆ」を添加した際の香気成分のガスクロマトグラフィーでの分析結果です。たまごゆの添加により増加する風味成分がオム皮の調理工程で増加する風味成分とほぼ一致することから、「たまごゆ」によりたまごの調理香が付与できていると考えられます。これらの成分は、いずれも揮発性の低い物質で、ボトム(匂いと味の中間域)に感じるため、たまご感に厚みを出すのに効果的です。
また、調理ではたまごはかくし味として利用されていることが多く、「たまごゆ」もその効果を有しており、塩味や酸味の角をとることができます。ドレッシグへ「たまごゆ」を利用すると酢のトゲトゲしさを低減し、マイルドな味に仕上がります。
たまごの香りは、組み立て方次第で色々な演出が可能です。この香りについて、他にも情報提供をしております。
たまごの呈味性の新キノウ!?
たまごにたまご自体の味や風味を期待するのは当たり前ですが、実はそれだけではないたまごの「呈味」キノウがあることはご存知でしょうか?太陽化学ではたまごの研究を進めるなかで、たまごには不快な香りマスキングや旨味の増強といった新たな「呈味」キノウがあることを発見しました。そのキノウは「たまごの味を感じられない」程度の低い配合量でも発揮され、太陽化学ではそのキノウを引き出す加工により「クックファインF」という製品を生み出しています。
★タマゴのマメチシキ!「たまごの味のひみつ」
たまごの味に何を求めますか?コク?あっさり感?それともネガティブ要素である「なまぐささ」がないことが重要?人によって様々でしょう。このたまごの味を決める重要な要素は“エサ”です。一般的にたまごの味にコクを出すには「動物性の飼料」を与えるといいと言われています。しかしながら、動物性の飼料(よく使用されるのは、魚粉)を食べさせるとたまごが生臭くなると言われています。
コクがあってなまぐさくないたまごにするには・・・エサのバランスが重要だと考えられます。