マグネシウムとは 「生体での働きについて」
マグネシウムの働き
食品に含まれている栄養素のうち、人間が生命活動を維持するうえで基本とされる栄養素は炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5つに分類されます。炭水化物や脂肪は身体を動かすエネルギーとなり、タンパク質は身体を作る材料に、ビタミンやミネラルは身体の調子を整えるのに使用されます。マグネシウムは、このなかでもミネラルに分類される栄養素です。
マグネシウムは人間の体内に約25g存在し、その50~60%は骨や歯に、約40%は筋肉や脳、神経に含まれています。残りの約1%は血清中に含まれ、血清中のマグネシウム濃度は1.8~2.3 mg/dLに維持されるよう調整されています。
マグネシウムの具体的な働きを表1に示します。
表1. マグネシウムの働き
酵素反応を助ける |
300種類以上の酵素において、補酵素や活性中心として機能。 エネルギー生産などの反応を助ける。 |
骨や歯を形成 |
骨の中に入るカルシウム量を調節し、骨の形成に役立つ |
筋肉を動かす |
カルシウムと共に、筋肉の収縮と弛緩に関わる。 |
神経伝達の制御 |
神経細胞への情報の伝達を制御する。 |
食品として摂取したマグネシウムは主に小腸から吸収され、吸収率は40~60%程度と推定されます。マグネシウムの平均摂取量が300~350 mg/日の成人では摂取したマグネシウムの30~50%が吸収されるというデータが得られており、これよりも摂取量が少なければ吸収率は上昇します。
マグネシウムを多く含む食品の一例を表2.にあげました。
藻類、魚介類、穀類、野菜類、豆類などに多く含まれています。
「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年から引用し作成」
表2. マグネシウムを多く含む食品例
食品 | 1食分の使用量の目安量 | マグネシウム(mg) | 分類 |
---|---|---|---|
あおさ(煮干し) | 小さじ1(2g) | 64 | 海藻類 |
カットわかめ | 10g | 46 | 海藻類 |
干しえび | 大さじ1(6g) | 31 | 魚介類 |
きんめだい | 1切れ 100g | 73 | 魚介類 |
発芽玄米 | 小盛 1杯 100g | 53 | 穀類 |
スパゲッティ | 乾物 80g | 44 | 穀類 |
切干しだいこん | 15g | 24 | 野菜類 |
えだまめ | 10さや 30g | 19 | 野菜類 |
納豆 | 1パック 50g | 50 | 大豆製品 |
絹ごし豆腐 | 1/3丁 100g | 50 | 大豆製品 |
マグネシウムの欠乏・過剰摂取により起こる症状
【マグネシウムが欠乏すると】
栄養不足などにより血清中のマグネシウムが少なくなると、マグネシウムを補うために腎臓でマグネシウムの再吸収が行われるとともに、骨からマグネシウムが溶け出し利用されます。また、低マグネシウム血症を発症すると、さまざまな症状が現れる可能性があります (表3) 。
長期間にわたってマグネシウムが不足すると骨粗しょう症、心疾患、糖尿病などの生活習慣病のリスクが増大することが示唆されていますが、これを断言するには更なる科学的根拠の蓄積が必要です。
表3. 低マグネシウム血症の症状
症状 | 原因 |
---|---|
吐き気 嘔吐 眠気 脱力感 |
エネルギー合成が阻害されるため |
筋肉の痙攣 ふるえ |
筋肉の制御異常 |
骨粗しょう症 | 骨からのカルシウム流出 骨形成の異常 |
【マグネシウムが過剰摂取されると】
マグネシウムの過剰摂取によって起こる好ましくない影響としては下痢があります。しかし、サプリメント以外の通常の食品からマグネシウムを過剰摂取したことで健康への悪影響が生じた報告はこれまでに見出されておらず、通常の食品からマグネシウムを摂取する上では過剰摂取による悪影響は起こりにくいと考えられます。
〈参考文献〉
厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2020年版
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
厚生労働省 『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/08.html
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