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ビールはなぜ泡立つ?クリーミーな泡の理由はホップの成分
界面のおはなし①~身近な“界面”の現象を乳化剤メーカーの目線で解説します~

ビール

ビールの特徴といえば何といってもあの泡、液と泡のキレイな比率でビールを楽しむための“上手な注ぎ方”の指南はあちこちでよく聞くものです。専門店などで注いでもらうグラスビールの美しく滑らかな泡は自宅で再現するには難しいものかもしれません。
注ぎ方に限らず、ビールの種類や温度によって泡立ち易さも異なり、様々な食品成分が複雑に絡み合うことでビール特有の泡が形成されています。

クリーミーな泡の理由はホップの成分!

泡を構成する気体の成分は、ビールの中に溶けている二酸化炭素です。ビールのように炭酸感のあるお酒はたくさんありますが、グラスに注いでも泡立たないか泡立ってもすぐ消えてしまうものがほとんど・・・同じように二酸化炭素が溶けているのになぜ?
ビールに物理的刺激を与えると溶けていた二酸化炭素が気泡となって遊離し、その泡のまわりをビール中のたんぱく質などが包み込んでいる状態となります。包み込まれた泡は液面上に集まり、泡の層を形成します。チューハイなどの発泡性のお酒は、泡が遊離してもそのまま液面から気体中に放出され、泡の層はできません。
このように、泡のまわりを包み込む物質があの滑らかさの実現には重要であり、コーティングに関わる物質は麦芽由来の「たんぱく質」とホップ由来の苦味成分である「イソフムロン」であることがわかっています。たんぱく質とイソフムロンが複合体を形成し、泡膜の表層付近に配列するため、他の飲料の泡よりもキメの細かく壊れにくいクリーミーな泡の層が形成されるのです。

他の“泡”が美味しい飲み物はどうなっている?

ビールと同じように製造過程で二酸化炭素が溶け込み、発泡性となったお酒にシャンパンがあります。こちらはグラスの底からキレイな泡が立ち上りますが、ビールと比べてたんぱく質の含有量が低いため、表面に泡の層はほとんどできません。
それでは他の飲み物・・・例えばミルクの泡の乗ったカフェラテはどうなっているでしょうか?
ミルクの泡はビールのように自然に立つものではなく、物理的に気体を液体中に混ぜ込むことで発生します。水であれば、同じ操作をしても泡は残りませんが、ミルクでは液面上に泡の層を形成します。ミルクもビールと同じように泡がたんぱく質でコーティングされており、割れづらくなっているのです。
自然に泡が発生して泡の層が形成される、という特殊な飲み物は少ないですが、お茶やコーヒーも気体を混ぜ込めばそれなりに泡立つので、泡を作り出す要素は多くの飲み物に含まれていることが分かります。

泡のコントロールと“界面”の関わり

さて、ではこの事象を“界面をコントロール”するという観点から考えてみましょう。まず、水を泡立てようとしても泡立たない理由は、“表面張力”にあります。表面張力はその物質の表面積を小さくしようと働き、表面積が大きい泡の状態を維持できません。ビールやミルクには、たんぱく質をはじめとした“界面活性の高い物質”が含まれています。界面活性物質が溶解した液体は表面張力が下がった状態となります。表面張力が低いため、泡は発生しやすく割れづらくなるのです。また、たんぱく質は泡の膜をコーティングするように並ぶことで、泡の安定性を高めています。
泡の発生と維持には“界面活性の高い物質”が関わっていることお話ししましたが、そのような性質を持つのは各種の「たんぱく質」だけではありません。お茶や豆乳が泡立ち易い原因は「サポニン」という配糖体であるなど、様々なものが“泡”には関わっています。

「泡をもっと細かくしたい」「大きな泡を消えづらくしたい」・・・泡をコントロールすることは界面をコントロールすることであり、そのためには、界面活性を持つ種々の物質を理解し活用する必要があるでしょう。

泡の発生と維持には界面活性のコントロールが大きく関わっていますが、逆に泡を“発生させない”ようなコントロールも界面活性を考えることで可能となります。
太陽化学は“界面活性物質”である食品用乳化剤を用いて、このような泡のコントロールについても研究しています。

(2018年10月)

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