高吸収、易水溶性フラボノイド製剤シリーズ
体内高吸収性と高溶解性を示すヘスペレチン配糖体製剤
ヘスペレチン-7-グルコシド(HPTG)包摂化合物(以下、ヘスペレチン配糖体製剤とする)およびヘスペリジン原体のヒトにおける血中動態について評価しました。試験デザインはダブルブラインド・クロスオーバー試験で、それぞれのサンプルを8名の男性が単回摂取後継時的に血液を採取し、血中のヘスペレチン量を測定しました(UMIN 000041787)。その結果、摂取後24時間の血中濃度曲線下面積(AUC)はヘスペリジンに比較してヘスペレチン配糖体製剤は約100倍高く、最大血中濃度値(Cmax)は約400倍高くなり、更にピーク濃度時間(Tmax)は約6時間早くなりました。また水への溶解度は、ヘスペリジンに比較し1000倍以上でした(図1,2)。
これら結果より、ヘスペレチン配糖体製剤は水への溶解性が高まることから飲料を含む多様な食品への展開が可能であり、吸収性が高まることから少量で効率的に種々の生理効果を示す可能性が示唆されました。
図1ヘスペレチン配糖体製剤及びヘスペリジン
摂取後の血中ヘスペレチン変化量の推移
図2 溶解性の比較
血管のしなやかさ
血管内皮機能を評価することは、早期動脈硬化の発見につながり、循環器疾患の予防の観点から重要とされています。その検査方法として、Flow-mediated-vasodilation(FMD)検査が広く普及しております。FMD検査数値は血管内皮と血管平滑筋を含めた血管壁の拡張性を反映している為、血管の「しなやかさ」と捉えることができ、その値は、加齢とともに低下します。
現代社会では、QOL向上のために血管のしなやかさの維持に役立つ機能がある食品が求められています。
血管のしなやかさを改善するヘスペレチン配糖体製剤
ヘスペレチン配糖体製剤およびヘスペリジン原体のヒトにおける血管のしなやかさについて評価しました。試験デザインはランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験で、59名の健常者をプラセボ(ヘスペレチン配糖体製剤を含まない)群、ヘスペレチン配糖体製剤150mg/日群、または300mg/日群の3群に分け、それぞれが含まれるカプセルを12週間摂取してもらいました(UMIN 000041787)。
12週間摂取後のFMD検査を実施した結果、ヘスペレチン配糖体製剤300mg/日群ではプラセボ群と比較してその数値が有意差に高くなっていました(図3)。FMDの数値が高くなったことは、血管のしなやかさが良くなったことを示しています。
本研究によりヘスペレチン配糖体製剤300mg/日 を連続摂取することで、健常者の「血管のしなやかさ」が改善され、血管内皮機能の維持に役立つ可能性が明らかになりました。
図3ヘスペレチン配糖体製剤摂取12週後におけるFMD値比較
血流改善
冷え性は日本人に多い症状の1つであり、複数のアンケート調査で、女性の約60~70%、男性の約40%もの人が冷え性を自覚していると報告されています。冷えは自律神経の乱れや身体の活力の低下を引きおこし、メンタルヘルスにも影響するなど、様々な身心の不調に関係します。そのため冷えに対して日常的にケアすることは大切です。
ヘスペリジンは血流改善作用、冷え性改善効果、及び自立神経改善効果がある素材として報告されていますが、難溶性で体内吸収率が低いことが問題です。
血流、及び皮膚温度を改善するヘスペレチン配糖体製剤
ヘスペレチン配糖体製剤およびヘスペリジン原体のヒトにおける血流及び皮膚温度回復について評価しました。試験デザインは二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で、60名の健常者をプラセボ(ヘスペレチン配糖体製剤を含まない)群、ヘスペレチン配糖体製剤150mg/日群、または300mg/日群の3群(各20名)に分け、それぞれが含まれるカプセルを摂取し冷水負荷試験を実施してもらいました(UMIN 000041787)。冷水負荷試験は、被験者にプラセボもしくはヘスペレチン配糖体製剤を含むカプセルを摂取してもらった後、15℃の冷水に1分間手を浸し、手を引き上げてから30 分後までの指先の抹消血流および皮膚表面温度の回復を評価しました。その結果、ヘスペレチン配糖体製剤150mg以上の単回摂取において、プラセボ群と比較し冷水負荷後に低下した抹消血流が有意に回復しました。又ヘモグロビン値が高めの被験者による層別解析では、皮膚表面温度もプラセボ群と比較し有意に高く維持させることが確認されました。
本研究によりヘスペレチン配糖体製剤150mg/日以上の単回摂取において、健常者の冷えによる末梢血流、及び皮膚表面温度が改善されることが明らかになりました。
<参考文献>
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 85(10), 2195-2199(2021)
診療と新薬,60 (8), 449-457 (2023).
Nutrients, 15(17), 3702 (2023).
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