“ぷるぷる”“どろどろ”の秘密! 増粘安定剤ビギナーズ
はじめに
毎年来る暑い夏、この暑さを乗り切るために、夏になると冷たいデザートのゼリー、アイスクリームなどをよく食べるようになるという方も多いと思います。ゼリーやアイスクリーム等の”かためる”や”粘る”成分として、増粘安定剤が用いられています。今回は、太陽化学が長年研究開発に取り組んでいる増粘安定剤についてご紹介させていただきます。
増粘安定剤って何??
コンビニやスーパーで買い物をするとき、商品(主に食品)を手に取ってみると、こんな表示を見かけませんか?
今回はプリンを例にとってみました。市販のプリンにはゲル化剤というものが含まれているようです。実はそのゲル化剤は、『増粘安定剤』からなっています。
みなさまのご家庭等でも”かためる”素材はいくつか扱ったことがあるのではないでしょうか?
そうです、寒天やゼラチンです。料理をするときに当たり前に使われる『レシピ検索・投稿サイト』、その中の1つのサイトを確認すると・・・キーワードとして「寒天」と検索すると12218品のレシピがヒットしました。また、「ゼラチン」と検索すると、37558品ものレシピがヒットしました。それぞれゼリーやプリンをはじめとしたデザート用途の他、スープやジュレタイプのドレッシングなどにも使われており、みなさまの身の回りで増粘安定剤が多く使用されていることがわかります。
このように、増粘安定剤は、食品の食感のデザインや改良の際に役に立つ「食品界における縁の下の力持ち」として活躍しています。
なぜ”かたまる”の?なぜ”どろどろする”の?
増粘安定剤によって生じるプリン・ゼリーが”かたまる”現象や、ジャム・ソースのように”粘る”といった現象のメカニズムについて疑問に思われませんか??
実は、増粘安定剤は溶液中で手(分子)をのばして水分子を捕まえ、増粘安定剤同士が手をつなぎあって(部分的に分子が結合して)緩やかな三次元ネットワークを作ることで”かたまる”といった現象が生じます。一方、増粘安定剤同士が絡み合って”どろどろ”するといった現象が生じます。
では、このような機能を持つ増粘安定剤には、どのような種類があり、どのような用途で使われているのでしょうか?
増粘安定剤の種類と用途
増粘安定剤にはみなさまが良く目にするゼラチンや寒天の他にも、図3のようにたくさんの種類があります。かたまったゼリー、どろどろの溶液のような物性は使用する増粘安定剤によって異なります。
増粘安定剤の使用量や温度によってもその物性は変化しますが、代表的な増粘安定剤のおおまかな特徴を示します。
代表的な増粘安定剤がもたらす物性の特徴
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- ゼラチン
- 弾力のあるゲルになります
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- 寒天
- かたく、もろいゲルになります
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- カラギナン
- 種類によってかたいゲルから弾力のある様々なゲルになります
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- グァーガム
- 粘りがあるどろどろした溶液になります
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- キサンタンガム
- 少量でも粘りがあり糸をひくような溶液になります
- 一般飲食品物添加物であり食品に供されていますが、添加物の目的で使用されている場合は食品添加物扱いとなります。
このように、それぞれ特有の性質をもった増粘安定剤が、様々な用途に使われています。
プリン、ゼリー、ジャムなどには”ゲル化(製品をかためる)”の用途で使われ、醤油やソースなどの液体調味料へは、文字通り、”増粘”の用途で使用されております。
その他にも、図4に示すような様々な用途で幅広い食品に用いられています。
様々な食感の創出にご協力いたします!
太陽化学では、上記のような増粘安定剤を幅広く取り扱っており、それらを組み合わせて様々な用途に使用していただいております。また、組み合わせを変えることで、様々な食感を作り出すことが出来ます。このような増粘安定剤を「ネオソフト」「サンカラ」シリーズとして多数取り揃えております。