ずっとおいしく健康に。
「低糖質麺」でも“こだわりの食感”を実現したい!
進化を遂げてきた日本の麺食
日本人の大好きな「麺類」。麺類の発祥は諸説ありますが、少なくとも紀元前にはその原型となる麺類が地球上で誕生し、1,000年以上前には日本に伝えられたと言われています。日本の麺といえば伝統の「そば・うどん」というイメージが浮かぶと思いますが、今ではパスタや東南アジア文化の米粉麺など様々な種類の麺文化があふれています。
特に、麺の「種類」だけではなく、麺の喫食シーンや加工技術も日本では独自の進化を遂げ、生麺や乾麺だけではなく、チルド麺や冷凍麺、即席麺等、様々な形で販売されています。海外から伝わってきた「ラーメン」は独自の進化を遂げて「日本のラーメン」として逆輸出され、「カップ麺」は日本で発明されて今や世界各国で食べられていますよね。そんな日本の麺技術の発展に太陽化学もご協力できるよう、30年以上研究開発を続けてまいりました。
麺って何でできているの?
今では日本の食生活に欠かせない麺類ですが、その麺の配合には製造方法や原材料の配合に様々な工夫があることはご存知でしょうか。乾麺や生めんは、主原料である小麦粉、そば粉、食塩、かんすい等があれば麺として成立しますが、「チルド麺」「カップ麺」「即席麺」などは、基本的な麺原料に加えて様々な食品原料や食品添加物を用い、こだわりの品質を実現されています。「熱湯を注いで少し待つだけでおいしく」「茹で上げてからチルド帯で保管された後でもおいしく」などのおいしさプラスアルファの価値を付与し、よりおいしい麺を設計するため、ありとあらゆる手が尽くされています。また、そのおいしさのキーとなる麺の食感バリエーションも多様であり、麺の食感コントロールはおいしさを決定する重要なファクターでもあります。
このような麺食発展の歴史の中、太陽化学ではこだわりの食感実現をサポートすべく、太陽化学もサンキララシリーズ(鶏卵粉末)、メンソフトシリーズ(増粘多糖類製剤)、サンソフトシリーズ(乳化剤)等を開発し、各種麺類に対応した麺用改質剤をラインアップしております。
麺の硬さをコントロールするために添加される「粉末卵」にプラスアルファの機能を持たせたサンキララシリーズ、麺へ配合する素材の機能を最大限に発揮するためのPF(パーティカル・フュージョン)加工など、麺の食感コントロールを手助けする素材と技術をご紹介しております。
麺食の新たな波「低糖質」
近年では、消費者意識の変化に伴い、「風味」「食感」といった品質だけでなく、低カロリー・減塩・低糖質などのキーワードを伴って「健康感」を想起させる麺類が次々と登場しています。これまでにご紹介したように、日本の麺加工技術はかなりの成熟を見せていますが、「健康」というプラスアルファの価値とこだわりの食感の両立は非常に難しい課題です。その中でも特に注目を集めつつも難しい課題である「低糖質」と「こだわりの食感」の両立のため、太陽化学も昨年より研究開発をスタートさせており、第一弾として低糖質麺用の麺用改質剤『メンソフトXTA-3』を開発致しました。
低糖質麺っておいしいの?
低糖質食品とは、食品に含まれる糖質を低減した食品です。低糖質を麺類にて実現するには、小麦粉中に含まれる澱粉を低減するという手法が主となります。そのためには、麺類の主原料である小麦粉の添加量を低減し、糖質ではない蛋白質や脂肪、食物繊維、低消化性原料等に置き換える必要があるでしょう。
このような原料配合にて製麺された麺類では、麺の骨格形成に必要な小麦グルテンの不足や不溶性固形物の混入等の影響で、粉っぽさやざらついた食感でのどごしが低下し、弾力に欠けて麺特有の「コシ」が足りない食感となることが懸念されます。また、麺生地の粘度が低下したり、圧延時の生地の伸びが弱くなる等の製麺適性の低下も考えられます。このように、「低糖質」を実現しつつ理想の麺のおいしさの鍵となる「こだわりの食感」を実現するためには多くの課題があります。
低糖質麺の課題を解決
太陽化学では「低糖質麺」で課題となる食感と製麺適性を改良するために、日々検討を重ねています。低糖質麺の課題に対しては、弱くなった小麦グルテンのネットワークを補強するために、麺に弾力を付与し、同時に不溶性の固形分をネットワークに絡め取ることで、麺のざらつきから失われるのど越しを取り戻すことが可能と考えられます。このような複雑な物性改良には、乳化剤や増粘多糖類などの多種の素材を組み合わせる製剤配合技術が必要であると考えます。物性変化のおおもとまでを考え、過去から積み上げた乳化剤・増粘安定剤・たまご素材の知見を組み合わせて、PF加工などの太陽化学独自の技術も活用しながら、課題をクリアできる素材の検討し提案を行っています。
進化を続ける麺食とこだわりの食感の両立のために
いったん成熟したと考えられていた日本の麺ですが、どんどん盛り上がりを見せる「健康へのニーズ」の高まりから、多くの新たな課題が出てきています。その課題を解決するため、どのような素材をどのくらい配合すればいいのか、多様な素材と多様な配合量の可能性から検討の可能性は無限にあります。その中で、太陽化学の技術がどれだけ処方決定のお手伝いができるのか、当社も常に試験検討を繰り返しより良い素材提案に向けて検討を進めております。麺の処方にお悩みの際、または麺の新製品開発をご検討される際には、ぜひお問い合わせくださいませ。
(2017年5月)