ナチュラル素材が求められる今こそ!お茶のチカラで口腔ケア
一口に「オーラルケア」と言っても、口臭、虫歯、歯周病と、口腔内には様々なケア対象があります。さらに、そのケアの仕方にも、歯磨きや歯間ブラシをはじめマウスウォッシュや舌ブラシ、ひいては普段の食生活など、非常に幅広い選択肢があります。その上、オーラルケアに有効な素材も多種多様に存在し…。といったように、オーラルケア製品の組み合わせを考えていくと、きりがありません。
今回は、無限の広がりを見せるオーラルケア製品の中で、あるトレンドに注目しました。
トレンドはオーラルケア×「ナチュラル」!
健康志向が高まりを見せる中、「ナチュラル素材」にも関心が集まってきています。100%自然由来のものでないと身体に悪い、というわけではもちろんありませんが、安心・安全で環境にも人にも優しくあろうとすると、ナチュラル素材を使用した製品に手を伸ばすことは、とても自然な流れだといえるでしょう。
オーラルケアの分野においても、ナチュラル素材を訴求した新製品の数は目に見えて増加しており、世界的な流れとしてもここ十数年でさらにその風潮は強くなっているようです【Mintel社製品データベースを用いた調査結果(2019年 当社調べ)】。
お茶のチカラで、においをブロック
ナチュラル素材であるお茶は、オーラルケアという観点でも様々な効果を有しています。
例えば、口臭の抑制。緑茶に消臭効果があることは古くから知られており、生活の知恵としても利用されてきた効果です。緑茶にはポリフェノール化合物が多く含まれており、その含有するフェノール性水酸基を介してにおい成分と化学反応を起こすことでにおい成分を化学的に変える、という性質を持っています。
子供から大人までつきまとう、虫歯の悩みにも
虫歯は口臭よりも、幅広い世代を悩ませる口腔症状と言えるでしょう。虫歯発生のメカニズムとしては、まず砂糖から合成されたグルカンが増殖した虫歯菌に付着し、それが歯に凝集していくことで歯垢が形成されます。この歯垢中に存在する虫歯菌が作り出す酸により歯が侵食されることで、痛みにつながる虫歯が発生します。
茶カテキンは虫歯菌の増殖、グルカンの合成、歯垢の形成といった虫歯発生の各ステップで、いずれにおいても抑制効果を有しており、高い抗う蝕効果が期待できます。
歯周病予防にも茶カテキンが有効です
虫歯と同じく歯垢が関与する歯の疾患として、歯周病は広く知られています。歯周病は歯のみならず、全身の疾患へと影響していく可能性のある恐ろしい病気です。
歯に対する症状としては、歯垢の形成により歯肉が腫れ、最終的には歯周炎となり歯根が露出したり、歯が抜け落ちたりするところまで進行していきます。この進行には歯周病菌と呼ばれる口腔内の細菌が関与しており、茶カテキンによってその菌数を減少させられることが確認されています。
虫歯にも歯周病にも共通して茶カテキンが有効に働くのは、その抗菌作用が作用するためです。茶カテキンは黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオなど、様々な菌に対する高い抗菌性を有しており、そのメカニズムは細菌細胞の表層部に対する損傷作用や過酸化水素発生による死滅作用によるもの、と考えられています。
緑茶を活用したナチュラルオーラルケアは、高齢者施設でも活躍中
「お茶でオーラルケア」というとなじみがないかもしれませんが、実は高齢者施設ではすでに、お口のケアに有効な手段として扱われてきた例もあります。
食後に緑茶を飲む、というごく自然な一動作を生活習慣に加えることで、口臭や便臭を抑え、虫歯などの歯にまつわるトラブルを回避できるのであれば、高齢者施設のスタッフにとっても施設の利用者にとっても、非常にメリットのあることです。昔ながらの「緑茶でケア」という技は、その身近さや試しやすさから、親しみを持って活用されてきました。
今では使いやすく、風味も良い口腔ケア製品が当たり前のように使われるようになり、ガムやタブレット、グミにお茶による口腔ケア効果を謳った商品も目に入りやすくになってきました。さらに、健康状態と口腔内状態の関係性について、学術的な報告も増えてきています。まずは一杯の緑茶から、あなたの口腔ケアと健康について、見直してみませんか?
(2019年9月)