人に、環境に、優しい素材。持続可能な社会に向けた、太陽化学からのご提案
全ての人々が豊かで、平和に暮らし続けられる社会のために。近年、ますます環境や社会に向けた取り組みが重要視されつつあります。私たち素材メーカーも、製品そのものの機能だけではなく、その製品の原料から生産まで、そしてお客様にご利用いただいた際の環境・健康への配慮まで、視野に入れて考えていくことを責務と感じています。
今回は、太陽化学の数ある製品の中でも、環境や人に対してわかりやすく「やさしい」製品をご紹介いたします。
たまごを扱う太陽化学だからこそ 卵殻カルシウム
企業として初めて、鶏卵加工品への取り組みを始めた太陽化学。実は、卵白や卵黄といった、家庭でもよく食する機会のあるたまごの中身だけでなく、それらを覆っているたまごの殻も製品として扱っています。
たまごの殻は、内側を覆う卵殻膜を除去して乾燥し、粉末状にすりつぶすことで、その9割以上が炭酸カルシウムで構成される「卵殻カルシウム」へと生まれ変わります。自然由来のカルシウム素材として栄養強化に用いられるほか、麺や菓子類の食感改良などにも活用されています。
家庭での使用環境から、ほとんどの人には「たまごの殻は捨てるもの」と、無意識に心に刻まれていることでしょう。しかし、家庭から出るたまごの殻であれば大した量にはなりませんが、液卵や鶏卵加工品を扱う企業にとってみれば、殻をすべて捨ててしまうと、たまご事業から生まれる廃棄物の量は相当な量に及びます。
たまごの殻を活用することで、廃棄物を減らし、より大きな循環の輪を作ることができます。ただのカルシウムではなく、<自然由来で、環境にも優しいカルシウム>という付加価値は、これからの時代注目に値するのではないでしょうか。
工業用途への展開を図る 界面活性剤チラバゾール
食品や化粧品分野への活動が目立つ太陽化学ですが、工業用途への展開も行っています。その代表的な製品の一つが、チラバゾールシリーズです。
チラバゾールは、長年界面活性剤に対する研究開発で培ってきた知見から生み出された、植物度100%の界面活性剤です。食品添加物であり、ポリオレフィン等衛生協議会・グリーンプラの各ポジティブリストにも登録された、安心安全な素材としてご提案しています。
チラバゾールの効果としては、ポリエチレン、ポリプロピレンといった樹脂におけるフィラー高充填化や流動性向上、水系への顔料分散性向上といった機能のほか、近年脚光を浴びるバイオプラスチックの一つであるポリ乳酸への改質効果も確認されています。
ポリ乳酸は硬くて脆い性質を有しているため、その改質のために石油由来の改質剤や可塑剤などの添加物が用いられてきました。しかし、これは本来のポリ乳酸の売りである「植物由来」とは矛盾してしまう素材であって、プラスチックとしての品質は良くなっていたとしても元も子もない、非常にもったいない製品、と言えます。そこで当社では、100%植物由来の原料を用いた改質剤であるチラバゾールを開発し、ポリ乳酸への提案を進めています。
より環境にやさしい素材を広めるため、さらなる拡販に向けた活動を行っていきます。
人にやさしい洗浄剤 サンソフトM-12J
界面活性剤であるサンソフトM-12Jは、起泡・洗浄力に優れたポリグリセリン系の洗浄成分です。用途としては、例えば野菜を洗う際の洗剤があげられます。
- |試験概要
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- 使用野菜:キュウリ
- 使用農薬含有成分:マラチオン、クロロタロニル
- 試験区:コントロール(水道水)、サンソフトM-12J
農薬浸漬処理をしたキュウリを水道水、もしくは洗剤液(サンソフトM-12J を230ppm濃度で配合した水溶液)に10分間攪拌しながら浸漬した後、水道水で3分間すすいでから、残留農薬の分析を行いました。
水洗いのみのコントロールに比べて、洗剤液で洗ったキュウリでは、農薬が大幅に除去されていることがわかります。サンソフトM-12Jを配合した洗剤で野菜を洗うことで、残留農薬を大幅に除去し、人にとってより好ましい食材に近づけられる可能性が示唆されました。
また、M-12Jを配合した洗剤は、肌への刺激が少なく角質の痛みが顕著に改善する、といったデータも得られています。洗剤としての機能性も保持した上で人にやさしい洗浄剤を開発する際には、M-12Jは有効な素材の一つとなることでしょう。
(2020年1月)