アムラの学術データ
アムラエキスの高脂肪食における体重増加・脂肪蓄積抑制
7週齢Wistar系雄ラットを用いて、通常食、高脂肪食、高脂肪食+アムラ果実水抽出物(アムラエキス)の3群に分けて1ヶ月飼育し、体重および内臓肪組織重量を測定しました。その結果、群間での体重あたりの摂取カロリーに差異はなかったにも関わらず、有意な差はなかったものの高脂肪食群では通常群と比べて体重の増加がみられたのに対し、高脂肪食とともにアムラエキスを摂取させた群では体重の増加が見られませんでした。さらに、内臓脂肪組織重量は、高脂肪食群で増加しましたがアムラエキス摂取群では有意に増加が抑えられました。
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(日本栄養食糧学会2007にて発表)
脂肪細胞中の中性脂肪蓄積抑制および脂肪細胞分化抑制
3T3-L1細胞を用い、前駆細胞から成熟細胞へ分化する際の中性脂肪の量と脂肪細胞分化に関する酵素(GPDH)の活性に対するアムラエキスの影響を調べました。成熟細胞分化後3T3-L1細胞中の中性脂肪量は、アムラエキス添加量に応じて減少し、20μg/ml以上添加したとき有意に減少しました。中性脂肪のみを染色して観察してみると、油滴の量が減っていることもわかります。また、GPDH活性についても、20μg/ml以上添加したとき有意に減少しました。
- 3T3-L1細胞
脂肪細胞へ分化誘導されることで細胞内に脂肪滴を蓄積することから、脂質代謝の細胞モデル系として脂質代謝研究などに広く用いられる細胞のひとつ。 - GPDH(Glycerol-3-phosphate dehydrogenase)
グリセロール-3-リン酸脱水素酵素。脂肪細胞の脂肪合成活性示す酵素で、脂肪細胞の分化と脂肪の蓄積を評価できる。
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(日本栄養食糧学会2007にて発表)
アムラ果実水抽出エキスの抗酸化機能(ORAC値)
アムラ果実水抽出エキスは、抗酸化力が高いといわれる果実の抽出物と比較して高いORAC値を示しました。
- ORAC値(Oxygen Radical Absorbance Capacity 値)
ORACとは活性酸素吸収能力を指し、その値は食品の抗酸化力の強さを示す。
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長戸有希子ら.(2010)『糖化による疾患と抗糖化食品・素材』
アムラ果実水抽出エキスのAGEs阻害活性
牛血清アルブミン(たんぱく質)にグルコースおよびフラクトース(糖)を添加したものに、アムラ果実水抽出エキスを0(ブランク)~10μg/mlとなるよう添加し、2週間37℃で保温したところ、アムラ果実水抽出エキス無添加(ブランク)に比べて、濃度依存的にAGEsの生成を抑制しました。
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長戸有希子ら.(2010)『糖化による疾患と抗糖化食品・素材』
アムラ抽出物の抗炎症効果(in vivo)
体内で炎症が生じると、サイトカインとよばれる物質が分泌されます。LPSにより炎症負荷を与えたラットに50mgのアムラ抽出物を食べさせ、24時間までの血中サイトカイン濃度を測定しました(図参照)
- LPS(LPS:Lipopolysaccharide)・・・リポ多糖 炎症負荷として投与
サイトカインのひとつであるTNF-αは、中性脂肪を分解する酵素の活性を抑制する作用も持っています。また、IL-6は主に血管内皮細胞から分泌されるサイトカインのひとつで、炎症を誘導する作用があります。アムラ抽出物を食べさせた群では、投与後4時間と8時間で有意にこれらのサイトカインが抑えられていることがわかりました。
- TNF-α(TNF:Tumor Necrosis Factor)
・・・腫瘍細胞を壊死させる作用のあるサイトカインのひとつ。 - IL-6(IL:Interleukin)
・・・炎症を誘導するサイトカインのひとつ。
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Raoら(2013) Br J Nutr. 7 1-6
アムラ抽出物の血小板凝集抑制および血液凝固抑制効果(in vitro)
ヒトの血液(全血)にアムラ抽出物を添加し、血小板の凝集性および血液が凝固するまでの時間を確認しました。血小板凝集性の確認には3種類の凝集惹起剤を用い、いずれもアムラ抽出物を添加した場合には血小板の凝集が抑えられていることがわかりました。また、血液が凝固するまでの時間は、内因凝集性をみるAPTT、外因凝集性をみるPTのいずれも凝固までの時間が長くなり、血液の凝固が抑制されていることがわかりました。
- APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間:Activated Partial Thromboplastin Time)
・・・止血機能のスクリーニングの検査のひとつ。内因性凝固因子の機能が確認できる。 - PT(プロトロンビン時間:Prothrombin Time)
・・・止血機能のスクリーニングの検査のひとつ。外因性凝固因子の機能が確認できる。
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文献情報:安田ら(2006)日本農芸化学会にて発表