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グアーガム分解物のアトピー性皮膚炎様症状抑制効果

げっ歯類動物などを用いた試験は、主に臨床研究の前段階(前臨床研究)として実施されることが多く、生理効果の検証と併せて作用機序に関する知見を得ることができます。

こちらでは、前臨床研究におけるグアーガム分解物のアトピー性皮膚炎様症状抑制効果についてご紹介します。

腸や腸内細菌と皮膚との間には腸-皮膚軸という関係があると提唱されており、アトピー性皮膚炎においてもその関係が議論されています1)
そこで、アトピー性皮膚炎モデルマウスにグアーガム分解物を給餌した試験では、皮膚バリア機能や上皮過形成といった症状が抑制されるという結果が得られています2)(図(a)-(b))。
その際、グアーガム分解物摂取による顕著な腸内細菌叢の変化がみられ、腸内では短鎖脂肪酸のひとつである酪酸が増加していました(図(c))。
酪酸についてはアトピー性皮膚炎の乳児において便中濃度が低いと報告されているほか3)、免疫応答の抑制において重要な制御性T細胞の分化を誘導するといった報告がなされています4)。そのため、グアーガム分解物摂取による腸内環境の改善は、免疫系の調節を通じて皮膚におけるアレルギー反応の抑制効果をもたらしたのではないかと考えられます。

グアーガム分解物のアトピー性皮膚炎様症状抑制効果の検証

腸は巨大な免疫器官のひとつであり、腸内環境の改善は免疫調節を介して宿主の健康状態に影響する可能性が高く、まだまだ潜在的な機能があるのではないかと期待されています。

(参考文献)
1) Park DH, Kim JW, Park HJ, et al. : Int J Mol Sci, 22(8):4228 (2021).
2) Morishima S, Abe A, Okamoto S, et al.:J Clin Biochem Nutr,(2025),advance online publication
 (https://doi.org/10.3164/jcbn.24-219).
3) Ta LDH, Chan JCY, Yap GC, et al.:Gut Microbes,12,1801964(2020).
4) Furusawa Y, Obata Y, Fukuda S, et al.:Nature,504,446–50(2013).

(2025年3月)

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